なぜ、事業計画書を作るのか?
事業計画作成は、まず経営者本人にとってのシミュレーションとなります。
すなわち、どのような事業に育てたいのか?
どうすればそれを実現できるのか?最終的にそれで儲かるのか?等を
試行錯誤する必要があります。
また、資金・技術等で外部協力を得るためには、経営者として事業内容・成果
についてコミット(約束)をし、その具体的方法も説明しなければなりません。
社員の行動成果を最大化するためにも、具体的将来像と行動計画を示す
必要があります。
0.事業の経緯
(1)事業開始の動機・沿革
事業の創始者の経歴、事業を開始した契機、事業の沿革について、
ポイントを記述して下さい。
また、事業開始のメンバーはどのような人々であり、これまでにどのような
関わりを持ってきたのか、当時の資金調達はどのように行ったのか等の
ヒト、カネの面についても言及して下さい。
(2)社長の経営理念・ビジョン
社長の経営理念・ビジョンや今後目標等についてご記入下さい。
※経営理念とは、創業から一貫して流れる事業への精神や基本姿勢に
ついて記載します。
企業としての存続意義、行動規範、経営姿勢といった基本的価値観に
ついて記載して下さい。
※ビジョン 事業の理想と将来像について記載して下さい。
単に「顧客第一主義」というようなような抽象的な表現ではなく、事業の
具体的なあるべき姿について記載して下さい。
2.役員・企業推進者の状況
(1)役員一覧
商業登記簿に記載されている会社の役員(代表取締役、取締役、監査役)
について、役職名、氏名、年齢、主な略歴・職歴等を記載して下さい。
また所有する会社の株式数、社長等との関係についても該当欄に
記入して下さい。
(2)役員以外の企業推進者一覧
(3)の役員以外で、会社の経営を実質的に支えている役職者等
(営業部長、技術者等)があれば、該当欄にご記入下さい。
Ⅰ.要約(エクゼクティブサマリー)
エクゼクティブサマリーは事業計画を要約したものです。
これは事業へ投融資するかどうかを判断するための第一次スクリーニング
に使用されるため重要な意味を持っています。
今後具体的な検討に入るかどうかは、ここを読んだだけで決定されると
いっても過言ではありません。
したがって、内容は以下に続く事業計画本文の全体のまとめとなりますが、
単なる要約ではなく、計画のポイントをうまく アピールできるように記載して下さい。
1.事業名
一行以内で簡潔に表現して下さい。
2.事業の特徴、概要(新規性、競合性、市場性・成長性)
商品・サービスの特徴について、以下のような観点から文章をまとめて下さい。
○新規性 どこが新しいのか・どこが従来にない点なのか?
○競合性 どこに優れた点があるのか・どこに競争力があるのか?
○市場性 ターゲットとなる顧客は誰か・市場のニーズの特徴はどうか?
○成長性 市場の成長性やシェアは伸びているか・どれだけの利益を
もたらすのか?
3.製造の実現性
商品・製造技術・量産技術の確立状況について、開発段階、試作段階、
商品化段階等のどのステージにあるのかを明らかにしていただき、それが
今後どのような段階を経て、本格的な量産体制に到達できるのかを簡潔に
まとめて下さい。
4.販売の具現性
販売の具現性について、受注状況、契約状況、販売代理店契約等、
出来るだけ客観的な事実、データの要点をまとめ、現在の進捗状況
及び当面の目標等を示して下さい。
<ポイント>
事業計画書は、作成目的を明確にして、策定して下さい。
1事業を検討するために作成する
2資金提供者から投融資を受けるために作成する
3事業パートナーの募集と獲得のツールとして作成する
4社内コンセンサス獲得のためのツールとして作成する
Ⅱ.事業コンセプト
事業コンセプトは、その読み手に対し、御社事業を正しく、そして深く理解
していただくためにたいへん重要な項目です。
事業内容によっては、技術的専門分野の説明が中心となることが考えられ
ますが、どんなに優れた技術でも理解されなければ、企業情報開示の目的
は達成できません。
したがって、以下に挙げる点に配意し、専門的知識がない素人でも理解できる
よう、表現を工夫しながら記載して下さい。
○ 事業内容及びその基盤となる技術・ノウハウなどを、新規性、実現性、
競合性、市場性、成長性などの側面から客観的かつ分析的に記載します。
○ 従来の商品・サービスと、どう違うのか、コスト・サイズ・重量・時間・精度・
温度・耐久性・利便性などの面における定量的な比較を行います。
複雑な技術・システムである場合には、これまでの業界の基本となってきた
技術・システムの原理・仕組みを冒頭で紹介し、それと対比させながら自社
技術の特長を説明します。
1.新規性
(1)商品・サービスの内容
商品・サービスの内容について、どこに新規性、独自性があるのかという
点を中心にその特徴をご説明下さい。
(2)技術・ノウハウの特徴
①これまでの標準的、基本的技術・ノウハウの概要
新技術・ノウハウを理解するために、既存の標準的、基本的技術・ノウハウ等
について、その概要をご説明下さい。
<ポイント>
思い描いているアイデアやイメージを、下記の5W1Hのキーワードで整理すれば、
簡単に事業コンセプトをまとめることができます。
What&What’s new ?
・どのような商品・サービスを提供しますか? その商品・サービスのどこが
魅力的なものなのでしょうか?
・どこが従来にない新しい点なのでしょうか?
Where&Whom?
・どのマーケットを対象に、誰に対して提供されるものなのでしょうか?
How?
・いかなる方法で(Price、Cost、Profit等の設定)展開しますか?
・どうやって競争力を維持し、継続するか?
Why?
・なぜこの事業を始めたいと考えたのでしょうか?
・その事業に懸ける動機や理念は何でしょうか?
When?
・事業自体のライフサイクルの段階と起業のタイミングの位置付けは
どうなっているのでしょうか?
②新技術・ノウハウのポイント
商品・サービス等の新規性、独自性の要因となる技術・ノウハウについて、
そのポイントをご説明下さい。
ここではなるべく専門知識がなくても理解できるように簡易な表現を工夫し、
技術の試験結果等専門家による評価を必要とする
内容は、別途資料を添付するようにして下さい
2.販売の信憑性
ここでは、商品・サービス別にユーザー評価、引き合い状況、契約・受注状況
及び販売実績等から、商品・サービスが顧客から受けている評価と今後の
販売見込を把握することを目的としています。
① ユーザー評価
商品・サービス別に、ユーザーからのプラス評価・マイナス評価について
記載して下さい。
② 引き合い状況
商品・サ-ビスの引き合い状況等について、相手先名、相手先担当者の
部署・役職、数量・価格・納期等の条件などについて、ご説明下さい。
③ 契約・受注状況
商品・サービス別に、契約・受注先、数量・価格、今後の見込などを
記載して下さい。
④ 販売実績
既に販売まで至っている場合には、上記と同様の視点からその実績を
記載して下さい。
<ポイント>
□事業計画の実現性について、その裏付となるものがありますか?
□事業計画に、具体性がありますか?
□現段階では、未確定な事項についても、記述のなかで触れていますか?
3.商品の具体性
(1)競合商品、他社状況
競合商品の有無及び他社状況について、ご記入下さい。
競合他社が多数ある場合には、その代表的なものを列挙し、
想定される全体の競合社数も記載して下さい。
(2)他社商品との比較(強み・弱み)
他社商品との比較において、コスト・サイズ・重さ・精度・速度・耐久性などの
面における定量比較を交えて、強み・弱みを客観的に分析して下さい。
(3)他社参入を防止する為の方策
特許権・実用新案・専用実施権等の有無、独占販売権契約の有無、
大手企業との共同事業・共同出資・共同開発・共同出願、ニッチ市場追求等、
強力な競争企業の参入を防止する為の方策があれば、その具体的内容に
ついて記載して下さい。
また、参入された場合の事業計画に与える影響についても言及して下さい。
<ポイント>
□他社商品・サービスと比較することにより、自社商品・サービスの特徴が
明確になっていますか?
□直接競合する商品・サービスが無い場合でも、何らかの点で類似する
商品・サービスがあるはずです。
自社商品・サービスの優位性を強調するためにも、類似商品・サービスを探し、
比較してみましょう。
4.市場性・成長性
(1)対象とする市場の規模・成長性
① 商品・サービスのターゲットとする市場について、業界全般の状況を
ご説明下さい。
② 市場を大分類から、個々の商品・サービス単位の小分類に至るまで
区分して、段階的に、それぞれの市場規模やシェア構成等の概況に
ついてご説明下さい。
③ 販売条件、季節変動、法的規制、ユーザー層等、市場に特異性がある
場合には、併せて記載して下さい。
なお、最近の市場の状況に関する新聞・雑誌等の記事があれば、添付資料
として提出して下さい。
(2)市場ニーズ、購入者層
① ターゲットとする市場にはどのようなニーズや購入者層が想定されるのか、
また御社商品・サービスはそれをどのように 満たすことが出来るのかを
ご説明下さい。
② 今後考えられる潜在的なニーズについてもご記載下さい。
(3)応用可能分野
記載して頂いた事業以外に、御社の技術・ノウハウを用いた新規事業、
新商品開発の可能性について、検討しているものがございましたら、
ご説明下さい。
<ポイント>
□市場規模やマーケットの特性について、情報収集を実施しましたか?
□対象となる顧客と市場について、調査と分析を行いましたか?
□商品・サービスは、ライフサイクル(導入期、成長期前期・後期、成熟期、衰退期)
のどこに位置しますか?
Ⅲ.事業スケジュール
ここでは、事業コンセプトを実現するために「どのように売るのか?」、
「それをどのように調達するのか?」、「モノをどのように作るのか?」、
「どのような設備を設置するのか?」、「どんな人に入社してもらうのか?」、
「どんな研究をしていくのか?」といった具体的な戦略と行動計画を把握
することを目的にしています。
1.販売活動
いかに優れた商品・サービスでも売れなければ事業としては成功しません。
どのような基本方針に基づき、ターゲットとする市場でどのようにアプローチ
するのか、価格、プロモーション、流通等を具体的にどのように展開していく
のかを十分ご検討下さい。
(1)基本方針
販売についての方針、行動目標等(例えば、当面優先する方針として、
顧客からの信頼を獲得する、低価格戦略による市場シェアを確保する、
ブランドイメージを確立する等)を述べて下さい。
(2)対象ユーザー
販売に当たり、どのようなユーザーを対象としていくのか、そのターゲットに
ついてご説明下さい。
(3)販売ルート及び価格体系の図示
販売チャネルとウエイトを把握できる記載をして下さい。
販売ルート、売上比率(全体の売上高に占めるルート別売上高)、ユーザー向け
の販売価格に対する流通価格を明確にする。
なお、販売ルートが複数ある場合、商品・サービス等が複数ある場合には、
個々に検討を行い、それぞれを積み上げることにより販売計画を立案する。
2.マーケティング戦略
①価格戦略
商品・サービスの価格設定、各販売ルートでの価格設定について具体的に
記載して下さい。
また、設定した価格は顧客ニーズにマッチしているか、競争相手と比較して
競争力があるか、設定した価格で事業が成り立つか等の点についても検討
を加えて下さい。
②プロモーション戦略(販売促進と広告)
潜在顧客に対して、商品・サービスをどのように知らしめ、アプローチして
いくのかを記載して下さい。広告宣伝、販売パンフレット、ダイレクトメール、
口コミ、雑誌での特集記事等の具体的な方法、またどのようなメディア、
広告媒体に重点をおくのか、またその予算についても記載して下さい。
③流通戦略
現在と将来の流通チャネルとしてはどのようなものを想定していますか。
小売店、卸売業者、商社、代理店等、何をどのように使っていくか具体的に
ご説明下さい。
④販売に関する独自性・ノウハウ等
販売について競争力となる独自性、ノウハウ等があれば記載して下さい。
<ポイント>
□価格策定は、いくらかかるのか(原価の要素)、といくらで売れるのか
(市場ニーズと競争力の要素)の両方の側面を考慮したものになっていますか?
3.販売計画
①計画設定上の外部環境等についての仮定
市場成長率、経済成長率、公共予算、他市場の成長率、為替レート、
原油価格等、計画設定上仮定したものがあれば、その内容及び比率、
金額等を記載して下さい。
②売上高計画
年度別推移から商品・サービスごとの収益性・成長性、主要商品・サービス
への依存度等を把握して記載します。
販売数量、販売単価を商品・サービス毎に予測し、それらを積み上げて売上高
の計画を作成して下さい。
③売上原価計画
上記の計画に基づき、商品・サービス別に「単価当り原価」(製品単価等)、
「原価率」を想定し、売上原価の計画を作成する。
商品・サービス別の販売単価・製品単価・粗利益率、並びに事業全体の
売上高・売上原価・粗利益の整合性に留意し、販売計画を作成する。
④販売計画の説明
上記の販売計画について、作成根拠等を示しご説明下さい。
⑤計画変更の可能性とその要因
販売計画に変更(上方修正・下方修正とも)をもたらす内部要因、外部要因を
列挙して、その場合の販売計画への影響をご説明下さい。
4.購買活動
販売活動を支える購買活動の計画が実際に担保されているのか、その安定性
はあるのか等について分析していただくことにより、事業計画の実現可能性を
確かめることを目的にしています。
(1)主要原材料・商品及び仕入先
御社が提供する商品・サービスの仕入れ、すなわち製造に関わる主要原材料、
提供商品・サービスに関わる購買について、その原材料名・商品名とその
仕入先を記載して下さい。
仕入先が多岐にわたるときは、その代表的なものを記入して下さい。
(2)購買計画
主要原材料・商品等について、購買数量と購買単価を予測し、購買計画を
策定して下さい。
製造業においては、主要原材料の購買計画を策定し、次項の生産計画に
おける製品原価との整合性を考慮して下さい。
商業等におかれましては、商品の仕入計画として策定して下さい。
(3)調達方法・ルート、安定性確保のための対応
上記の購買品に関する調達方法について、その基本的な方針やルートを
簡潔にご説明下さい。
(4)購買に関する独自性・ノウハウ等
購買に関する御社の独自性・ノウハウについてあれば、他社・他事例との比較を
含めて記入して下さい。
5.設備投資計画
ここでの設備投資とは、以下の例のような固定資産等に対して資金投下する
ことを指します。
・店舗設備等の土地、建物
・工場の機械設備
・研究開発に伴う実験設備
・事務所賃借に際しての敷金・保証金 等
1)設備投資の内容
この事業計画における主な設備投資について、それぞれ物件名、用途・仕様、
導入時期(年月)、投資金額(千円)、資金調達方法を記入して下さい。
(2)設備投資スケジュール
ここでは、設備投資計画に基づき、資金支出の計画と、その費用化としての
減価償却費予定額の算定をしていただきます。
上記(1)の設備投資のうち、自社所有物件として購入する設備と、購入しないで
リースや賃借等で導入する設備とに分け、各計画年度別の支出額を集計して
該当欄に記入して下さい。
6.人員計画
人員面から事業計画の具体性及び実現可能性を検討することを目的と
しています。
(1)採用計画
業務内容別に求める業務能力・職歴等を記載し、必要人員を年度別に
記入して下さい。
業務内容は、営業責任者、広報活動専属スタッフ、営業事務職員、物流
スタッフ等具体的に記載して下さい。
(2)求人方法及びその処遇
人材紹介会社の利用等による求人の具体的方法、また会社が採用する従業員
の処遇について記載して下さい。
(3)人員計画・人件費計画
既存人員を含めた人員計画及び人件費計画を作成して下さい。
具体的には、以下のような算定の手順が考えられます。
①人別に個別に積み上げて各年度の人件費を見積もる
②一般社員については、職種別に給与の年平均単価を見積り、それに人員数を
かけて人件費を概算する
③パート等の場合は、各人毎の「勤務時間×時給」を積み上げた給与総額を、
人員数で割り返すことにより年平均単価を計算する
④製造業においては、製造に係る人件費を「原価計」に、また、それ以外の
人件費を「経費計」に、それぞれ区分して計上する
Ⅳ.財務計画
Ⅱ~Ⅲで検討していただいた内容に基づき、利益計画と資金計画を立案します。
事業計画を数値化することにより、「利益がどれくらいでるのか?」、
「事業として成り立ち、会社が発展していくのか?」、「立案した計画で資金繰りが
成り立つのか?」、「必要としている資金はいくらなのか?」等が明らかとなり、
計画の妥当性を検証することができます。
さらに、事業を長期的な視点から展望し、株式公開を含めた御社の将来像を
記載していただきます。
